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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!
苗はそれもわからず能天気に話を続ける。
「あ!この子、田舎の幼馴染みの悟ちゃん」
「知ってる……」
「え?知ってる?……知ってるの? なんで?」
素朴な疑問だった。
一言答えた夏目の視線に尚更棘が見える。悟もそれを感じて一瞬眉をピクリとさせる。
そして悟はふっ…と微かに嫌な笑みを口端に浮かべて見せた。
夏目はその表情にあからさまにムッとした。
こいつ──
完全な敵だ──…っ
しかもアイツとはかなり違うタイプの嫌な奴だ…っ…
そう感じてモヤモヤしてくる夏目に苗は返す。
「あ、と…じゃあ、苗達見学に行くから大ちゃんもがんばってね!」
「…っ…あ、苗…」
手を振る苗に小さく呼び掛けたが振り向いたのは悟のほうだ。
夏目は流し目を返してくる悟を睨むように見つめる。
呼び掛けたはずの苗はまったく気づかずに背中を向けたままだ。
「……っ!?…」
夏目は睨んでいた目を見開いた。先ほどの嫌味な笑みに輪を掛けた視線を悟は夏目に投げ掛けてくる──
新たな恋敵の登場に、今年の夏は──去年よりもヒートアップしそうな予感を夏目は静かに感じていた……。