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卒業祝い
第3章 転
浴室の中は、暖かかった。

洗い場にある椅子まで歩みを進めて、ユキはようやくほっと一息ついた。

身体に熱が伝わり、生き返ってくるようだ。




信司はすでに向き直って、バスタブからユキの丸いお尻と白く輝いている背中をじっと見ていた。

「ユキ・・きれいだね」

浴室に木霊す信司の声に、ユキの身体が一瞬びくっと反応する。

見られている。

全身じっと見られている。

ユキは身体を硬くした。

「もう・・信ちゃん、あんまり見ちゃだめだってば」

ユキは、座ったままどう行動したらいいかわからなかった。

「ユキ、こっちにおいでよ。一緒にお風呂に浸かろうよ。ね」

正面の鏡に映る自分の裸体を見ている信司を、ちらりと見遣る。

ちらちらと鏡の後ろを伺っていたが、自分のお尻や背中が丸見えなのを知って、ものすごく恥ずかしい。

お尻の割れ目が、信司に見つめられてしまっていると思うと、身体を硬くしているしか、他に仕様がなかった。




一方の信司は、一生懸命に隠そうとするユキの仕種とその腕におさまりきらない柔らかい女性の稜線、特にお尻の形や腰にかけてのくびれを眺めるや、むくむくとあれを奮い立たせていた。

「ユキさ。一緒に入っちゃえば、恥ずかしくないよ」

すでに、ぎんぎんになっているところをいじる信司。

「おいでよ。ね」

このまま肌をさらし続けて、信司に見つめられるのは恥ずかしいが、バスタブまで行くなんてことは、どうしても考えられない。

ユキの身体は、浴室の温度に慣れてしまったようで、少しずつ寒さも感じるようになってきた。

どうしよう・・・とりあえず寒い・・・後ろ向きのままいく?

ユキは、意を決して信司の待つバスタブへと後ろ向きのまま進んでいくことにした。

立ち上がると、中腰の状態で、前を隠しながら、一歩ずつ歩みを後退させていった。

そのくねくねとした腰の動きが、なまめかしさを醸し出す。

バスタブの手前まで、後ろ向きでようやく近づいた。

黙っている信司の熱い視線を間近で感じる。

「ちょっと、信ちゃん、後ろ向いてて。入れないから」

「え?入ってくればいいじゃん」

何言ってるの?見られたままでなんて、バスタブに入れない・・・絶対。

そのとき、がっと腕をつかまれた。

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