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愛のムチ
第2章 練習試合


 「よろしくおねがいします!」


 いよいよ練習試合が始まった。


 「絶対勝とうね!」


 いつになく士気が高まっていて、なんとなくだけど部員間に団結力のようなものさえ感じられる。

 何より勝とうという気力が芽生えたことが素晴らしい。
 
 さすが和馬先輩。

 感心しながらコートに入るけど……。


 注目されている男子部の試合を一目見ようとギャラリーが大勢詰めかけ、異様な雰囲気を醸し出していて緊張のあまり身体が動かなくなる。

 誰かにプレイを見られるのってすごく苦手だ。

 見られてるかと思うと全くプレイに集中できない。

 「あ!」

 単純なミスが続いて点を取られてしまう。

 何とか1セットは返したものの、あれよあれよと2セット取られて負けてしまった。

 他の部員たちも同じ様子で、練習でできていたことが全くできなくなっていた。



 「ボールの気持ちになってラケット振って!」

 あたしの叫びも虚しく、女子全員が負けを喫してしまった。


 それとは対照的に男子は次々と勝っていく。勝つのが当たり前のように。

 和馬先輩の他にも上手な先輩はたくさんいて、うちの学校の圧勝で終了した。


 「負けちゃったね……ご褒美、もらえないね」


 シュンとするひとりの部員を


 「勝てるまで練習しよう!」


 皆で囲んで心をひとつにして、試合の相手校が帰った後に早速コートに出て練習を開始する。

 ギャラリーももう全くいなくなっていたからいつもどおりの動きができる。

 今日なかなか決まらなかったサーブ。

 緊張しなければちゃんと入るのにな。

 どうやったら緊張しなくなるかな。


 がむしゃらにサーブ練習をしていると、


 「試合でそのサーブが打てるとよかったな」


 和馬先輩と他の先輩数人がコートに入ってきた。


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