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女刑事 沢木麻衣子の性
第3章 刑事と被害者
麻衣子は駅前のネットカフェにいた。

警察バッジを見せ、事情を話し、捜査に協力を求めた。

「ここですね」

36番の個室へ案内された麻衣子は、すぐに鑑識に電話をかけた。

「こちら沢木、至急駅前のネットカフェに来て!」

しばらく36番の個室を使用しないように話した。

もしかしたら、犯人の指紋や何か手掛りが残されているかも知れないのだ。

だが、麻衣子の持ち物に犯人が触れている筈なのに警察バッジや名刺入、スマホからは指紋すら残されていなかったから、あの男が手掛りを残すとは考えにくかった。



その後、すぐに鑑識が到着して、徹底的に探したが、指紋は勿論、髪の毛一本残されていなかった。




「警視、お疲れでしょうから、今日は帰宅されてお休み下さい」

署に戻ると、部下達が心配して集まってきた。

「そうね・・疲れたわ。じゃ、後はお願い。何かわかったら連絡して!」

そう言って麻衣子は署を後にした。










ここは麻衣子が住んでいるマンション。

署から車で20分程の所に立っている10階建てだった。

麻衣子の部屋は703号室だった。

麻衣子は家族がいなかった。

実家のある福島には年老いた両親がいるが、麻衣子は結婚歴もなく、当然子供もいなかった。

周囲は、『こんな美人が独身だなんて勿体ない』と、見合いや男性を紹介された事も少なくなかったが、麻衣子は全て断ってきたのだ。

どうしてか・・?

これには事情があった。

麻衣子がキャリアとして警視庁に入庁した頃、実は同期の高倉という男性と知り合い、交際していたのだ。

勉強と武道の文武両道一筋だった麻衣子が、初めて愛した男性であり、結婚を誓い合った仲だった。

ところが、一足先に刑事となった高倉がヤクザ絡みの覚醒剤事件の捜査中にヤクザに撃たれ、殉職してしまったのだ。

麻衣子は嘆き悲しんだ。

そして自分に誓ったのだ。

『この世から犯罪を墨滅する!』

『もう男性は愛さない!』

『仕事には私情は挟まない!』

この3つの誓いを立てたのだった。

これが麻衣子が独身を貫き、最強の女刑事と言われるまでになった経緯なのだった。

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