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弥輿(みこし)
第2章 久遠村
「……お母さんから神社の中に入ったという話は?」
「うんん、ただ神社の近くまで行って度胸試しをした……だったわ」
「だよなぁ……
久遠神社は女人禁制で入れる訳が無いもんな
ああでも近くまで行く度胸試しは俺も子供の頃にやったやった、夜だったら怖いんだよ子供の頃は」
「陸さんも?
みんな同じ事をしているんだね」
「……多分俺達は別理由だと思うけどなぁ」
「えっ? 別??」
「いや、なんでもない
ほら此処全部が漁港だよ、小さな村だけど設備は大都市並みなんだ」
なんだろう?
言葉を濁されたというか誤魔化された感じ??
それに引っ掛かりは持つけど、陸さんに言われた通り漁港は広くて設備が整っていて船が沢山!
漁業メインと言っていたし、村の殆どの人が漁港関係者なのかな。
それくらい漁港に力を入れているのよ、周りと異質を放つ程には。
「俺も漁師だけどまだまだ下っ端でさ、中々船を持たせて貰えない……って、これは愚痴だよな
次に行こうか如月さん?」
「次??」
「泊まる場所困るだろ、村に民宿すら無いんだしさ
だから宗方宗家に頼み込んだんだ、村長も如月さんの事は大歓迎だって」
「ちょっと待って!
私そんな事聞いて無い、日帰りで帰るつもりだったのに、何時の間に話が大きくなっているの!?」
なんで!!
陸さんだって日帰りでOKって言っていたじゃない!
なのに泊まり、それも宗方宗家だなんて私の方がどうして良いのか分からないじゃないの!!
「まぁしきたりだと思って如月さん
少しだけ村長と挨拶して、後は離れに泊めてくれるらしいから、自然を満喫すれば良いよ
宗家の庭って、手入れが行き届いていて綺麗だし温泉もあるんだ」
「でも……」
「大丈夫、如月さんは宗方の血縁なんだ、文句なんて出ないよ」
「……………」
トントン拍子とでも言うの?
私の知らない内に勝手にお膳立てされた気分、此ってあまり良い気分じゃ無い。
なのに陸さんは、村で一番大きな屋敷……多分宗方宗家へと車を進める、私の意見は無視をして。