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弥輿(みこし)
第2章 久遠村
◇◇◇
陸さんの車は村をぐるっと回り、多分母が言っていた神社の階段を通り過ぎた向こう、村の一番端になるであろう場所に建つ広大な敷地を持つ屋敷へと入った。
(此が宗方宗家……)
此の村で一番力がある家、母と同じ宗方が住むという家、見た目的に大金持ちだと思うのに、母は何故宗方を頼らなかったのだろうか?
私的には其処に疑問が残る、母って何を考えていたのかと。
「如月さん、こっちこっち
駐車場から本宅まで長くって、毎回此だけは面倒なんだよ俺でも」
「凄い広い……
庭が全て手入れされていて建物も沢山」
「季節に合わせた別棟が多いんだ、それに住み込みさん達の建物もある
でも奥の一番デカい建物が本宅で、久遠神社と共に国の有形文化財に指定されているほど古い物なんだってさ」
「文化財って絵や城とかしかイメージがないけど、こういうのも文化財になるんだね、でも壊したら怒られそう」
「形ある物は何時かは壊れる、って村長の言葉
だから難しく考えなくても良いと思う」
「ふーん……」
陸さんに最低限の案内と説明を聞いている内に、一番奥の建物……本宅に辿り着いたみたい。
駐車場から5分以上歩いたのは、この際見ないふりだよねこれは。
「お邪魔しますー! 佐伯です!!」
「……………」
玄関だけでも広く、真っ直ぐに奥が暗く見えなくなるまで磨き抜かれた廊下が通っていて、普段私なんかが暮らしている家とは別世界。
文化財というから古く怪しい雰囲気かと思ったけど、それも少し違う。
逆に木の渋みというのかな? 光沢があって清潔感もあり、一定間隔に昔のランプだろうか明かりが灯っているモダン感覚。
そんな廊下を繁々と眺めていたら、奥の方から1人の男性が玄関先まで歩いて来たの。