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弥輿(みこし)
第3章 宗方宗家
◇◇◇
「どういうつもりだ、蒼士、一昭?」
あの愛海という娘を使用人に離れの方に案内させた後、私は蒼士と一昭が居る部屋へと押し入った。
佐伯を使ってまで漸く懐深く納めたというのに、蒼士の方はそれを邪魔するようなあの発言、此からの事を考えても一昭はともかく、蒼士は抑えなくてはならん。
「いゃあ……
お目当てのが来たと聞いたから見に行っただけだよ、別に親父の邪魔をする気は無いしー」
「そのわりには余計な事を言ったな蒼士」
「ちょっと口が滑っただけじゃん」
「という事は、あれを試すすもりですか当主?」
「ああそうだ、邪魔をすれば只では済まさぬ
宗方と久遠村の此からが掛かっているのでな」
「「……………」」
黙ったか、あれは宗方当主の勤め、誰であろうと妨げる者は排除する。
30年振りの宗方の血筋の女、更にあれがあれば久遠村の男共全てが了承するだろう。
聖海は持っていた、だからこそ子である愛海が継いでいる可能性は高い、その為のこの宗家への留置き。
「先ずは使用人に愛海を露天風呂に入らせるよう言い含めておる、それを見てからでも遅くはない」
「それ、俺も見に行って良い??
勿論一言も話さないからさ」
「蒼士、当主の邪魔をするのか?
とは言え話が事実かどうかは俺も知りたい所、今までは迷信半分だったんだ」
「実在はしておる、愛海の親、聖海がそうだった
但し逃げ出した、外の男を使って厳重な監視の目を逃れ、久遠村の外に出て行き方知れず、それが30振りに戻ってきたのだ、無くとも使い道はある」
「へーそういう魂胆かぁー
最悪宗方の誰かと……俺良いな、ああいう感じ」
「俺は別に……
男は宗方の女で無くとも良い筈、此ばかりは勝手に決めさせて頂きます」
「もし違えば好きにすればよい、私は行くぞ?」
精神的に少し幼い息子蒼士と、少々頭の固い一昭、正反対の性格というのに不思議と仲が良い。
次の当主と考えれば一昭、だが息子に継がせたいという思いはある。
(今は愛海の方が優先、定めは私にしか出来ぬ)
まだ言い足りなそうな2人を置き、私は愛海が使うであろう離れへの道を歩く。
露天風呂で見付からなければ、直接体を確めるのみ。
幸い良い女だ、そう苦労はしないだろう。