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弥輿(みこし)
第3章 宗方宗家
「んーー!!」
熱いけど心地良い!
それに温泉の湯のようで、掛ける度に肌がスベスベになっている感じがする。
此はと思い、しっかり体を洗ってから思い切って内風呂を抜け露天風呂に入って見る事にした。
「きもちいいー!!」
お湯もそうだけど、囲いはあるが見える自然豊かな山という絶好な景色。
解放感というのかな? 一気にリラックスモードになってしまいそう、勿論リラックス出来ない部分もあるけれど。
(お母さんが此処を嫌ったら理由(ワケ)が少しだけ分かった)
孤立した村というか集落に、あり得ないような風習。
聞いた範囲だけでも私だって受け入れられない、女は子供を産むだけの道具じゃ無い、ちゃんと生きて意思のある人間なんだよ、それを無視するような村長さんの言い分にムカッと来たのも確か。
「……ふう……」
お湯を手で掬い流れて行くのを楽しみながらも、多少熱めのお湯に我慢出来なくなり、露天風呂を囲っている大きな石の1つの上に座って見た。
「はしたないとは思うけど、風が気持ちいい」
緩く吹く風が、温まり過ぎた体を冷ましてくれるようで、ついついタオルで体を隠す事すら忘れて石の上に長居。
露天風呂から内風呂を見るというのも結構レアかも?
こんな広い風呂を独り占めなんて普通あり得ないし、今日くらい良いよね??
そんな良い気分に浸っていたら……
「………??」
なんだろう?
なんとなくだけど、誰かに見られている感じがしたの。
でも離れには私1人の筈、私の気のせいか、先程の使用人さんか、もしもの可能性で野性動物?
こんな田舎だもの、狐や狸みたいな野性動物が居てもちっともおかしくはないけれど、でもそれは少し変だとも思う。
屋敷の中に野性動物なんて出て来ないんじゃないかって。
「……なんだろうね……」
嫌な感じなのでまた露天風呂の中に入って、ジーッと視線みたいなものを感じた囲いの方を見詰めても何1つ無く、結局は私の勘繰り過ぎみたい。
広すぎる露天風呂に変な感覚になったのだろうか?
「まぁ良いか、何も無いんだし」
自分自身を納得させて、私は逆上せる前に内風呂まで戻る事にした。
本当に男に裸体を見られていたという、自分の感の真偽は分からないままに。