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弥輿(みこし)
第1章 偶然的運命の出会い
◇◇◇
"チリーン"
「あら、いらっしゃい」
barの扉を開けると何時もの綺麗な鈴の音と、そして聞こえてくるマスターの声。
マスターと言っているけれどキリッとした女性で、マスターでありバーテンダーでもあってカウンターの中が定位置。
そんなカウンターの隅に座るのが私の定位置。
女性マスターだけに気楽で話しやすいのよ、だからこの場所ばかりを選んでる。
「先ずは仕事終わりのビール1杯!」
「愛海、それってオジサン発言よ?
それにbarなんだからカクテルくらい注文して欲しいわね??」
「仕事終わりは此でしょう、グッと1杯が良いの」
「だから彼氏が出来ないって気付いてる?」
「うっ………」
それはキツい言い分だわ。
確かにアラサー近くなってから、考えが多少オジサン化はしているわよ、勿論自覚もある。
でもね言葉で言われると傷付くなぁ、結婚願望は捨ててはいないんだから、もう少し言葉をセーブしてよ?
と言っても、何年も通って私の性格を良く知っているマスターには通用しない。
「どうぞ……
愛海って普通にしていれば美人なのにねぇー
それに親無し独り暮らしの高物件、なのに中身と来たら……もう」
「別に中二病でも無いし引き籠りでも無いわよ私、少し早く独立が早かっただけじゃない、女1人で生きて行くには逞しさも必要なの
じゃお疲れ様でしたー!」
私に差し出されたビールをグイっと一気に胃に流し込む。
んー!! 1日の中でこの瞬間が一番の幸せ、マスターじゃないけれど家に帰っても1人だから、この方が良いのよ。