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弥輿(みこし)
第1章 偶然的運命の出会い
マスターが本領発揮とチェリー・ブロッサムを作る、そして差し出されたチェリー・ブロッサムのグラス1つを、隣の男性は私に寄せてくれた。
「ありがとう
あっ、まだお名前を聞いていなかったわね」
「俺?
俺は佐伯……佐伯陸(サエキ リク)と言います、そちらは?」
「愛海、如月愛海って言います」
「如月さんか良い名前、俺の事は陸って呼んで?」
「陸……さん……
じゃ初顔合せに……」
「「乾杯」」
名前の通りチェリー色のチェリー・ブロッサムを陸さんに掲げて一口、今日のチェリー・ブロッサムは甘め仕様みたい。
ビールの後だから甘口のカクテルが喉に心地よい。
「如月さんは何時もこの店に?」
「ええ、殆どこのbarです、だってマスターが女性で安心出来るから
陸さんは何時もは何処で飲んでいるんですか?」
「俺かぁ……
今日は偶々用事があって此の街に来たけど、普段は地元の居酒屋かスナック
とは言っても、居酒屋が1軒にスナック2軒しか無い田舎だけどさ」
居酒屋1軒、スナック2軒って目茶苦茶田舎じゃないの!
見た目は此の街にも居そうな普通感覚なのに、なんか意外過ぎない?
「田舎って?」
「久遠村って知らないかな?
此処から百キロ程離れた場所なんだけど、観光名称すら無いから知名度は低め
更に漁業メインなんで、普通はスルーされる事が多いんだよ」
「っっ!!
……久遠村……」
チェリー・ブロッサムを飲んでいた私の手が止まる。
だって久遠村って、久遠村って、亡くなった母が絶対に行かなかった場所。
本当は久遠村出身なのに、最後まで頼らなかった場所。
それなのに、今更久遠村の名前を聞く事になるなんて思わなかった。