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弥輿(みこし)
第7章 優しく淫らな開発
「玩具だなんて思っていません、人形だなんて思っていません、愛海さんは愛海さんです
俺がこんな事を言うとは……俺だって愛海さんの事は言えないと言うのに、それでも俺は……分かっていても愛海さんが此処から居なくなるのは嫌だと思ってしまう、俺の我が儘ですね」
「分かりましたから、柊さんの言いたい事は分かりましたから、素直に柊さんに従います」
愛海さんは、俺がやった事を忘れたかのように、悲しい顔をして俺の首に腕を回してくれる。
それが何れほど嬉しいか、愛海さんには分からないだろう。
始めて女性と過ごす幸せ、変則的でも奥宮に愛海さんが居る事で得られる充実感。
ずっと奥宮で1人だった俺は、こうした普通の事に縁遠い存在、それなのに普通に食事をして、普通に話す、愛海さんは普通なんだ!
それを変えようとしているのは俺達の方、弥の巫女として男無しでは居られない体にしようと、秘薬を使ってまで性的な目覚めを促す。
激しい心の葛藤が俺の中に渦巻くのを感じる。
普通にしていて欲しい俺の心と、もっと弥の巫女として淫らに花開いて欲しい俺の心、俺の2つの心は、どちらを取れば良いのかと語り掛けるが、今の俺に決められる事でもない。
現にこうして愛海さんを抱き締めて安らぎを感じ、同時に肛虐を促し欲情しているのだから。
「すみません、勝手な事を言ってしまいました
愛海さんに取れば俺の事など関係ない話、ですが弥の巫女となっても愛海さんは愛海さんで居て欲しい、それだけが俺の願いです」
「私は少し分かりません、でも私は私であり続けたい、そうは思う
だけどこのままじゃ私は私で居られる自信なんて……無い、快楽に溺れて他が見えなくなるんじゃないか、私はそれが怖いの」
「それを支えるのも俺の勤め、大丈夫です壊させません愛海さんを、俺が護りますから」
ふと顔を上げた俺は愛海さんの瞳に惹かれ、一瞬唇が触れ合う寸前まで近付いたが、それを避けてもう片方の肩口に顔を埋め唇を這せる。
此以上は愛海さんに痕を残せない、だから唇で舌で愛海さんを感じるだけに留め、後は菊門に入っている張り型の負担にならないように抱き締める、俺には……久遠神社の神主である俺は、此くらいしか出来ない。