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弥輿(みこし)
第9章 豊漁祈願・弥の巫女
◇
こういう話は平行線のままで、剃るのは夜らしいし、日中はいたって普通……とはいかないみたい。
柊さんの方がね忙しいのよ、豊漁祭まで後数日という事で表宮の準備もしなければならないから、柊さんは表と奥を行ったり来たり。
その間に豊漁祭の概略を書いた本を、柊さんは私に渡してくれた。
さしてする事が無い私は、張り型も抜けたし久しぶりに奥宮の社殿で座って読む。
「……………
表宮の行事は普通の神社と同じみたい、でも神輿を海に奉納? 海にも神社があるって事なのかな??」
神輿を船に乗せて豊漁祈願と書いている、でも船に乗せるだけじゃぁね、それとも柊さんも一緒に乗って祝詞でも上げるのだろうか?
でも、ちゃんと露店も出て、神輿を担いで村を練り歩き、奥宮での神事もある。
こう見れば普通のお祭りだけど、此の奥宮は?
それに関しては書いていない、あくまでも豊漁祭……つまり奥宮のお祭りの事だけなんだね。
変わらない奥宮の社殿、つまり洞窟内に作られた神社の中で、1人ぽつんとしていたら、唯一の出入り口である岩門から男達が何かを持って数人門から入って来た。
「……っっ!!」
白装束の男達の一番後ろ!
それは……隼さん……
そう言えば朝に柊さんが言っていた、宗方が奉納しに来ると。
でも男達が担いでいるのは小さな神輿、それ以外の物もあるようだけど、私の目に一番最初に飛び込んで来たのは神輿だったのよ。
そして隼さんは、私を見付け私の側まで歩いて来る、私は動けないまま隼さんが近寄るのを、ただ見ているだけ。
「久しいな、すっかり巫女姿が板に付いたものだ」
「……………」
隼さんを見れば甦る記憶、縛られ、責められ、散々犯された、そして一番嫌なのは私自身が快楽を欲し隼さんにねだった事。
それなのに、此の人は涼しげな顔で私に言う……もう少し言うべき事があるんじゃないの!?
「どうした?
漸く戻った弥の巫女であろうに、喜ばしくないか?
此処に居れば誰1人お前をぞんざいに扱わん」
「喜んでいるのは隼さん……いや宗方だけでしょう」
「何を言う、弥の巫女のお戻りは村の男共全員に伝わっている
豊漁の巫女だ、喜ばしく思うのが当たり前であろう?」
「公明正大に性行為が出来るの間違いじゃない!」