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弥輿(みこし)
第9章 豊漁祈願・弥の巫女
どうしても、どうしても、隼さんの言い分に納得出来ない私。
初めからそう、騙して久遠村に連れて来られた時から、隼さんとは意見が合わない。
隼さんの言葉は私の心に刺をさしているようで、そう一方的な此の話し方が苦手なのよ。
「男の欲というのは尽きる事は無い、漁獲量にしろ女にしろ、もっと沢山のものと欲を欲す
だが女に関して言えば、此の狭い村で多人数の女に手を出せば、村のいい笑い者になる
だが両方を一気に解消するのが弥の巫女の存在だ、12年に一度だけ回って来る年男という役得で、村の醜態を晒さずに済むのだからな」
「私には、ただ村を守るだけに利用すると聞こえますけど?
女は性欲の道具じゃないわ」
「言えるのは今の内だけだ、宵宮になれば分かる、女の性欲というものをな」
「……………」
何を言ってもっ!
此の人に私の言葉は伝わらない、私を道具としか思っていない此の人には。
こんな考えで良いの?
それで村を支配して良いの?
柊さんとは真逆の考え方に、私の方が呆れて言葉が出なくなる。
「来ていましたか隼様」
「ああ柊か、今年の神輿と供物を運ばせた、洩れがないか検分願おう
それと弥の巫女をもう少し大人しくさせておけ、宵宮に暴れられては敵わん」
「搬入リストは頂いています、見たところ表も奥も洩れは無いようです
それと巫女に関しては巫女の意思、俺はそれに関与出来ません」
まだ隼さんと言い合いをするのかと思ったら、間に入って来た柊さんに、やんわりと止められた感じ。
柊さんも隼さんも事務的口調、でも柊さんは私の事だけ然り気無く否定した??
「そろそろ秘薬が十分に回った頃だと思ったがな、どうやら十分では無いよう、宵宮迄に完全な状態に仕上げろ、それがお前の役目であろう?」
「勿論です、ですが秘薬はしっかり馴染んでいます、後は巫女の意思が強い為に、鍵になる事が無ければ秘薬の効果は薄くなっているだけに過ぎません」
「意思な……確かに強そうだが、こちらの秘薬の比率を上げれば済む事ではないか」
「秘薬は麻薬ではありません、比率を上げても同じ事になるでしょう
そして宵宮になれば自然と鍵が開く、それで良いではありませんか隼様」
私を真ん中に置いて、柊さんと隼さんの攻防って……
でも柊さんは、私みたいに隼さんに負けない、自分の意思をしっかり隼さんにぶつけている。