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弥輿(みこし)
第10章 豊漁祭・秘中の儀式

宗方……うんん、此の久遠村の男達への贄、だからこんな姿で男達の欲情を煽るんだ。
此処に来てから今までの話を総合すれば、御神体というより村の男達の性欲を晴らす為に、弥の巫女は存在すると思う。

秘薬を馴染まされ、男を受け入れ易くなった体。
村の女性達に隠された存在。
奥宮だけで行われる秘め事。

『担ぎ上げて行き渡る』
今の私を見て訳せば、女を担ぎ上げて男に行き渡させる……弥の巫女とはこんな意味にも取れない?
だから贄、男達の欲望への贄、それが……私の今の姿。

「行きましょうか弥の巫女
既に神輿は奥宮に到着し、今年の年男達が祭壇で待機しています」
「……分かりました……」

千草と呼ばれた膝元くらいまである羽織を翻し、私は狩衣姿の柊さんの後ろを黙々と歩く……奥宮の祭壇に向けて、此から始まる卑猥なる儀式へと……


◇◇

しきたり上、年男である不破や真木、そして宗方からの蒼士と一明の後ろに座しているが、やはり今年の期待度は例年以上。

(弥の巫女の存在か……
かくも上手い効果が表れるとは、男は所詮男と言う事だろう)

とびきり若いという訳ではないが、見た目的には20代前半で美人の顔立ち、そんな女を制限はあれど公明正大に抱けるとなれば、男であれば誰でも期待を持つ。
顔だけは事前に写し村の男共に渡してやった、それは勿論今後の為であり、始めてになる不破と真木が愛海と交わり更に噂を広げる。
さすれば宗方は安泰、まだまだ此の久遠村で権力を保持する事が出来るであろう、それが我々宗方宗家の役割の1つ。

「……来たか……」
「「おおー!!」」
「「……………」」

柊の後ろを俯き加減で歩く愛海……いや、弥の巫女。
それを見て、不破と真木が期待と欲望が入り雑じった声で応えたが、一度見ている蒼士と一明は沈黙を選んだようだ。

先導され祭壇の前に座る間、不破と真木は穴が開く程に見詰めている……
まあ表面上は天狗の面で分からん、だが視線は間違いなく弥の巫女の剥き出しの脚や内腿に向けられているのは確か、欲の目というものはそう簡単に断ち切れるものでもない。

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