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Seven
第6章 グランジ

「否定しないんだ?」

 ユータくんの質問を受け流し、「俺、仕事戻るわ」雪さんはオフィスへ向かい出した。女性問題について、雪さんは周囲からいじられることが多く、いつも笑って「俺、モテるんで」と返している。でも、今回は違う。質問には応えていないものの、ユータくんには真摯に対応しているように私には見えた。

「そうやって、都合が悪くなるとすぐ逃げ出す」
「大人は色々忙しいんだよ」
「……なんなんだよ、アンタ。好き勝手の自分勝手で、姉貴は──」

 そう言いかけたユータくんの口をジュディさんは力ずくで塞ぎ、「帰るわよ、ユータ」そのままユータくんを引きずって行った。白目を向いていた気がしたけど、ユータくんは大丈夫だろうか……。

「……これで少しは俺のこと分かったんじゃない?」

 私を見下ろした雪さんの目に輝きは無かった。漆黒に近い瞳がじっとこちらを見ている。ブラックホールのように全てを吸い尽くす恐ろしさを放つ二つの目。だけど、目が離せなかった。というより、放っておけなかった。彼を一人にしちゃいけない、そんな気がした。

「雪さんは、どんな雪さんでも雪さんです」
「何それ? 意味わかんない」
「みんな誰だって色んな面を持っています。やさしい面もあれば、意地っ張りな面だって」
「だから? 多分、西宮さんは俺に対して勘違いしてると思うよ。まぁ、俺もやさしい人を演じてたけど。この際だから、ハッキリ言うね。俺は君が思ってるような奴じゃないから。──汚れてるんだ、身も心も」

 反論しようとしたけど、自嘲的な今の雪さんには何を言っても届きそうにない。悔しいが、下唇を噛み締めることしか出来なかった。

「自分のストライクゾーンに入る女性なら誰でもいい。──もちろん、深雪ちゃんもね」

 甘い語り口で距離を詰めてくる雪さんを私は突き飛ばした。どんな雪さんも雪さんだと私は言った。それは、どんな雪さんでも受け入れ、受け止めたかったから。

「ほらな。突き放すってことは、俺を受け入れられないってことでしょ」
「雪さんは何も分かってない! 何も!」
「じゃあ、逆に聞くけど──お前は俺の何を知ってるの?」

 返事に詰まった。雪さんについて知らないことばかりだ。まだ出会って日も浅い。知っているなんて軽々しく口にできない。
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