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Seven
第6章 グランジ

 悲しいが、これが現実だ。収入がなければ、会社は潰れてしまう。杉野さんの言っていたことを小林さんが代弁してくれたが、「いくら大手と契約を結んでも、会社にとっての利益が少ないなら、契約を結んだ意味がない」

 正論だ。また、こうも杉野さんは言っていたらしい。「雪は【契約】に囚われ過ぎてる。そのことに本人が気づかないと、大変な事態を招く」

「杉野さんの意見も分かるんですけど、雪さんのことだから他に何か考えがあって動いてるような気もするんですよね。あの人、意外と計算高いから」
「それも有り得そうですよね……」
「そういえば、知ってますか? 雪さんの副業」
「え!? 陣川さん、副業してるんですか!?」
「今、タピオカジュースが流行ってるじゃないですか。去年、出店したんですよ。大盛況してる駅前のお店知りませんか?」
「まさか、あの行列店ですか!?」
「そうです。出店当社は、売れるはずがないって周囲に反対されてたんですけど、今年に入ってSNSで拡散されて、人気に火が点いたんです」

 人でごった返している人気店のオーナーが雪さんだったなんて思いもしなかった。友人にも多くのリピーターがいる。「ね? 意外と計算高いでしょ?」そう言って小林さんは笑った。

「だから、何か考えがある気がするんですよね。それも俺たちじゃ思い付かないような大きな考えが」
「大きな考え……」

 全然検討もつかない。でも、計算高い彼は先を見通して動いているのだろう。ピーマンのような頭脳をした私じゃ、雪さんの思考に到底追い付ける気がしない。彼が考えている未来は、どんな世界なのだろうか。少しだけでも覗いてみたいものだ。

「水面下で、既に始動しているはずですよ」
「結果が出るのは、まもなく……でしょうか?」
「さぁ? そこも含めて、計算に入れているんじゃないですかねー」
「……気になるなぁ」
「それにしても、雪さん戻り遅いですね」
「どこ行ったんでしょうね」

 結局、定時の時間になっても雪さんは戻らなかった。
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