この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Seven
第6章 グランジ

 事件が起きたのは、それから程なくしてのことだった。

「ったく、雪のやつ!!」

 朝から杉野さんの怒声がオフィスに響いていた。出社したばかりで状況が飲み込めない。そんな私のもとへ小林さんが駆け寄ってきた。

「小林さん、おはようございます」
「挨拶はいいから! 西宮さん、ちょっとこっちに来て!」

 オフィスから出て、人気(ひとけ)のない廊下に出た。オフィス内は何やらバタバタと慌ただしい。時おり、杉野さんの声が聞こえてきた。

「雪さんの顧客の一社が傾いたんです……」
「え!?」

 傾いたというのは、会社の経営が危ういということ。つまり、いつ倒産してもおかしくない状況だ。そうなれば、 当然保険料の支払いが発生する。保険加入者からしたら有りがたいことだが、保険会社からしたら損失になる。

「それで朝から杉野さんの機嫌が悪いんですね……」
「おまけに、雪さんがまだ出社してないんです」

 腕時計に目をやれば、時刻は九時五分を少し過ぎていた。十時から勤務スタートのため、最低でも一時間前である九時にはみんな出社している。

「昨夜のニュースでも取り上げられたらしく、こんな状況だから誰よりも早く出社しているだろう!と思って、杉野さんは出社したみたいなんですけど……。雪さんの姿がなかったから、『あの野郎!!』って怒り出して……」
「……こんな日まで遅刻なんて」

 困った人だ。そう言いいかけた時、ポケットに入れておいた携帯が震え始めた。「……噂をすれば」着信の相手は、問題の渦中にいる雪さんからだった。

「雪さんからですか!? 早く出て!!」
「は、はいっ!!」

 温厚な小林さんが声を荒げた。事態の深刻さが伝わり、慌てて私は電話に出た。
/125ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ