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Seven
第1章 第一印象は笑顔
ドヤ顔を決め込む陣川さん。あまりにも自信満々で言うものだから、つい笑いを溢してしまった。そこへ園田さんが「遅れてすまない」と入室してきた。
慌てて椅子から立ち上がり、一礼を彼に送った。
園田さんは長身で見るからに仕事が出来るやり手実業家。海外映画でも活躍していた実業家ヒーローに出で立ちが似ている。
「相変わらず、ダンディっすね。園田さん」
「君のプレイボーイぶりには負けるよ、陣川くん」
互いにふっと笑みを交わし、着席した。「お初にお目にかかります、園田です」スマートな挨拶をした園田さんに対し、「は、はじめまして! 西宮と申します! よろしくお願いします」私の挨拶は、たじたじ。大人の余裕というのが彼からひしひしと伝わってくる。
「可愛い新人さんだね」
「え……」
初対面の人に【可愛い】と言われたのは初めてだ。お世辞でも嬉しい。
「お世辞じゃないからね。俺は、陣川くんと違って女性の扱いには慣れてないから」
「よく言いますよ。それだけ饒舌なら、マスター級じゃないですか」
心臓がドキドキと鳴る。魅力的な男性からお褒めの言葉を頂けた。それも冗談ではないとまで……。
「あーぁ、どうしてくれるんですか。うちの新人、園田さんに骨抜きにされてるんですけど」
「俺には、どうも出来ないなぁ。俺の魅力が分かるなんて、ますます気に入った」
白い歯が輝き、ウィンクと一緒に笑顔が飛んできた。園田さんの魅力にノックアウト寸前のところで「仕事に入るぞ」陣川さんの冷めた視線が現実に引き戻してくれた。
「園田さんも。仕事の話、始めますよ」
「仕方ないね。新人ちゃん、また次回ゆっくりとお話しようか。──君の魅力について」
「はいはい。ほら、西宮さんも本気にしない」
頬が熱を持って熱い。気にしないようにていても、園田さんからの視線は止まない。目が合う度、にこっと微笑みが返ってくる。これじゃ仕事どころではない。