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Seven
第7章 急加速
決意が固まったからか、これまでウジウジしていた気持ちはどこへやら。無敵モードに入ったRPGのキャラクターのように自ら進んで仕事をこなしていった。心配してくれていた杉野さんも「その調子で頑張れ!」と励ましてくれ、徐々に自信に繋がっていった。
心の変化は仕事面に留まらず、これまで躊躇(ためら)っていたが、「ダメで元々!」そんな気持ちで雪さんに連絡を取ってみた。
【お久しぶりです! お元気にしてますか? 私はこれまで以上に仕事を頑張っています! 雪さんも体調に気を付けて頑張ってください! 応援しています!】
メールは苦手だと言っていたから、返事が来るかは分からない。彼に自分の気持ちを伝えたかった。いわゆる、自己満足というやつだ。迷惑だと思われてもいい。それでも、連絡を取りたかった。
案の定、一日・二日と経過していき、ついには五日が経った。いまだ、何の音沙汰もないまま。
こうなると分かっていたにも関わらず、悲しみと切なさが止まない。やっぱり送らなければよかったな……と後悔すらする始末。
仕事中は必死に業務にあたっているため、そのことしか考えられないからいいのだが、仕事明けは雪さんのことばかり考えてしまう。
「会いたいなぁ……」
会社の駐車場に停められている雪さん専用の商業車を見る度、彼の面影を思い出して会いたくなってしまう。私はこんなに思っているけど、彼は私のことなんて眼中にないのだろうな……。返って来ないメールが現実を突きつける。
会社を出て、駅へと向かう足が重い。明日は休みだというのに全然気持ちが上がらない。それどころか、休みなんて要らないとさえ今は思う。熱中できることが仕事しかないから。他に何か趣味を見つけよう。そうでないと、雪さんのことばかり考えてしまうから……。