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Seven
第2章 ロマンチスト

「今日もスーツ似合ってますね!」
「……ありがとうございます」

 きっと彼は天然なのだと思う。不思議なオーラを纏った人物。でも、悪い人ではない。どちらかと言えば、優しい人。この前会ったとき、「オフィスの観葉植物たち、元気がないですね……」と悲しそうに植物たちを眺めていた。その直後真剣な顔つきになり、部長に許可を取り、日が当たる廊下へと移動させ、乾いていた根本に水を撒きながら「もう大丈夫だから」とやさしく微笑んでいた。

 男性らしい表情をした彼に少しドキッとさせられた。普段はフワフワと穏やかな印象の彼だが、意外と即行動型のようだ。

「西宮さんは花のように綺麗で美しいです」

 「へ?」突然、青葉さんが放った口説き文句とも取れる発言に栗木さんと驚きの声が重なった。

「お、お世辞はやめてください!」
「お世辞なんかじゃないです。俺の本心ですよ」

 ショートケーキの香りが漂いそうなほど、甘い空気を醸し出す青葉さん。胸焼けしたような表情で栗木さんが口を挟んだ。

「もう十分話したでしょ。さっさと自分の会社に戻りなさい」
「……分かりました。また会いに来ますね、西宮さん」

 どう返したらいいか悩む私の横で栗木さんが「しばらく来なくていいから!」と声をあげた。
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