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Seven
第2章 ロマンチスト
「なんなの、アイツ!! 仕事しに来てるのか遊びに来てるのか分からない」
どうやら、栗木さんにとって青葉さんは苦手なタイプのようだ。しかし、栗木さんが言うことも分かる。仕事とプライベートは混合してはいけない。
「なーに、怒ってんの?」
「きゃっ!?」
突然、栗木さんの背後に現れた陣川さん。彼女の肩に顔を乗せているから、二人の顔の距離が近い。けれど、慣れているのか栗木さんは照れることもなく、普段と変わらぬ様子で毒づいた。
「忘れてた……。ここにも同系統の人がいた」
「ん? 何の話?」
「陣川くん、彼女と仕事に出掛けるんでしょ? 早く行かないと、杉さんにまた怒鳴られるよ?」
「栗木さんには何でもお見通しか……。西宮さん、出掛けるよー」
「は、はい!」
陣川さんに続いて「営業に行ってきます!」と杉野さんに声を掛け、営業車が置かれている駐車場へ向かった。
「あ! 西宮さん! 僕に会いに来てくれたんですか?」
まだ青葉さんは帰っていなかったらしい。自分の営業車のところで書類に何か書き込んでいた。
「青葉くんじゃん。お疲れー」
「あ、陣川さん! お疲れさまです」
「なに、二人は付き合ってんの?」
ニヤニヤしながら私たちを交互に見る陣川さん。「違います!」と否定した私に対し、青葉さんは「僕は西宮さんが好きですよ」と微笑んでいた。
「……前から思ってたけどさ、青葉くん」
「なんですか、陣川さん」
「お前、絶対確信犯だろ!」
「え? 何がです?」
「……いや、いい。──けど、俺の可愛い部下を勝手に口説くのはやめてもらおうか」
「分かりました! 陣川さんに許可を取ればいいんですよね?」
「え、いや……」
「では今から西宮さんに──」
このままでは話が長くなる。
「陣川さん! 営業先の方が待ってますよ! 早く行かないと! 青葉さん、さようなら!」陣川さんの腕を引き、青葉さんの元を離れた。