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Seven
第2章 ロマンチスト

「ナイス! 西宮さん!」
「ちっともナイスじゃないですよ! もう、話がややこしくなっちゃった……」
「ごめん。俺のせいで」
「あ、いえ……。そういうつもりじゃ」
「──でも、あの言葉に嘘はないから」
「え?」
「西宮さんは俺にとって可愛い部下だから。何か困ったときは、俺に真っ先に相談して」

 素直に嬉しかった。陣川さんに【可愛い部下】と思われていることが。私にとっても、陣川さんは頼りになる上司だ。

「にしても……青葉の奴にも困ったもんだな」
「……そうですね」
「絶対確信犯だと思うんだよなー、アイツの天然ぶりは」

 怪しいと疑い出したらキリがない。本人にしか、こればかりは分からない……。

「あ、そう言えば──俺の連絡先、教えたっけ?」
「いいえ」
「だよな! 俺も西宮さんの連絡先知らないし。番号言うから掛けてくれる?」
「いいですよ」

 言われた番号に掛け、「お! 着た着た! よし、登録完了!」と彼は微笑んだ。私も彼の番号を登録した。

「これで何かあったら、すぐ連絡できるな! お互いに」
「はい!」
「さて、行きますか!」
「安全運転でお願いします」
「りょーかい!」

 サイドミラーに映っていた人影にも気づかず、颯爽と白の軽自動車は会社の入り口を出て街に溶け込んだ。


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