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Seven
第3章 青春カムバック
「あ! ここです!」
小林さんお目当てのお店に着くと、彼は一目散に店内へと入っていった。私と雪さんも彼に続くはずだったが、雪さんの携帯が着信を知らせた。
「悪い。俺、向こうにあるベンチにいるわ。小林は一人で楽しんでるから、西宮さんも気になるところ回っておいで」
「あ、はい」
彼は私に笑顔で手を振ると、すぐ通話を始めた。その背中を見送る。届かないと分かっているけど、手を振った。別れ際みたいで切ない。「次、いつ会える?」「また会ってくれる?」遊び人の男性と付き合ったら、さよならをする時、毎回こんな気持ちになるのだろうか。
こんなの耐えられない。今でさえ、喉の奥がグッと痛む。悲しさが目から出ないよう、下唇を噛み締め、堪えている。付き合ってもいないのに、この現状。私はやっぱり独占欲が強いみたい。好きな人には、私を一番に思っていてほしい。
「……少し、ブラブラしよう」
彼の姿が目に入らない方向へ歩き出す。重い女──自分でも、そう思う。元カレにも言われたことがある。『お前、考え方が重い』だからなのかな。なかなか恋愛がうまくいかないのは。
愛される可愛らしい女性になりたい。どうしたら、そんな女性になれるのだろう?
「ねぇ、お姉さん! ちょっと待ってよ。ねぇってば!」
腕を掴まれるまで自分を呼んでいるとは気づかなかった。二人組の男性が私の両端に立っていた。お洒落な落ち着いた服装をしているが、どことなく雰囲気が若い。おそらく、年下だろう。
「な、なんですか!?」
「今、暇?」
これって──ナンパというやつじゃないですか!?