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Seven
第3章 青春カムバック
「デートの邪魔しないでくれる? お前も何ついていってんだよ」
「……あ、ごめんなさい」
「ったく。油断も隙もないんだから」
声を掛けてきた彼らは「すみませんでした!」と謝りながら、人混みに消えていった。「電話、いいんですか?」抱き寄せられたまま、雪さんを見上げた。
「《深雪》ちゃんの一大事に電話なんかしてられないでしょ?」
「あ……名前」
「今は彼氏彼女のふりしないと。また、厄介なのに絡まれたいの?」
「……いいえ」
「だったら、俺に付き合って恋人のフリして。わかった?」
「はい……」
「このままは歩きにくいから、離れよっか」
「そう、ですね……」
遠いと感じた距離を一瞬にして彼は詰めてしまう。私の心は彼に翻弄されてばかりだ。当然、好きの気持ちも増加する一方。でも、彼は何も知らない。私を見る彼の目は【部下】のまま。ズルい人……。
電話にしてもそう。『深雪ちゃんの一大事に電話なんかしてられないでしょ?』──これって……ずっと私を見てたってこと? 考えすぎ?
どこまで振り回すつもりなのだろう。楽しそうに笑う彼の考えが私には全く分からない。