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Seven
第4章 恋の連鎖が止まらない
「あれ? 違うのかな……。俺、見たことあるんですよ。雪さんの彼女」
ぼやけていたシルエットが段々と現実味を帯びてきた。雪さんの彼女さん、きっと美人なんだろうな……。雪さんは面食いだと栗木さんから聞いたことがある。
「綺麗な人でしたよ! モデルさんみたいで」
「へぇー、そうなんですね……」
心の中で「やっぱりか」とため息をついた。私なんかじゃ彼とは釣り合わない。そもそも相手にすらしてもらえないだろう。そんなことは知っている。彼のタイプから私は大きくかけ離れているもの。
勝手に凹んでいる私を具合が悪いと思った小林さんは体にやさしいレモンと蜂蜜入りの温かい飲み物を買ってくれた。
「これ飲むといいですよ!」
「ありがとうございます」
「いえ! それじゃ俺行きますね」
「はい、お気をつけて!」
「いい人だなぁ……」自分の営業車に乗り込んだ小林さんを店内から私は見送った。手の中で温かい彼に買ってもらった飲み物。それに彼の人柄が重なり、心も温かくなった。
「悪い、待たせた! 俺にも飲み物買ってきて! 甘いコーヒーね!」
ガラス越しに指示を出す雪さん。小林さんとは真逆だ。マイペースというか、俺様というか──どんな状況でも誰に対しても、雪さんは自分のペースを絶対に崩さない。