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Seven
第4章 恋の連鎖が止まらない

 頼まれた甘いコーヒーを手にし、車に乗り込んだ。車内にはタバコの香りと彼の香水の香りが漂っている。

「サンキュー!」
「いえ……」

 小林さんが言っていた《彼女》のことが気になる。かと言って、「さっきの電話、彼女さんからですか?」なんて聞けない。でも……聞きたい。モヤモヤした感情の綿毛が心に積もっていく。零れるギリギリのところで雪さんが訊ねてきた。

「さっきさ、小林いなかった?」
「いましたよ」
「肩、叩かれてたよね?」

 まさか見られていたなんて……。彼女さん(?)との電話に夢中だったのに?

「なに小林なんかに触れられてんだよ」
「え?」

 どういう風に受け取ったらいいのだろう。小林さんだからダメという意味? それとも男性に触れられたこと自体がダメって言いたいの? 色々考えても、行き着く先は同じ。

──これって、【嫉妬】というやつですか?

 都合のいい考えしか浮かばない。次の言葉を待っても雪さんからは何も返ってこず、勇気を出して「あの……」と声を掛けてみた。「はいはい、今出発しますよ」不機嫌なのが声から伝わってくる。

「……すみません」
「なんで謝るの? たださ──簡単に触れる女は【落とせる】って思われるから気をつけな」
「はい……」

 遊び人の彼からのアドバイスは信憑性がある。もっと気を引き締めよう……。

「俺、西宮さんが軽い女って見られるの嫌だから」

 【ハートを射抜かれる】とは、このことを言うのだろう。真っ直ぐな彼の瞳に自分の何もかもが吸い込まれそうになる。ドキドキ高鳴る胸の音。──恋の連鎖が止まらない!
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