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Seven
第1章 第一印象は笑顔
営業車が停まっている駐車場へ行くと、営業から戻ってきた小林さんと遭遇した。
「お、小林! お疲れー」
「お疲れさまです、雪(ゆき)さん」
オフィスでは陣川さんと呼んでいた小林さん。杉野さんも「いつも小林に連絡する」と言っていたが、陣川さんと小林さん二人は仲がいいようだ。
「これから営業ですか?」
「あぁ」
「大通り混んでたから、裏道から行ったほうがいいですよ」
「まじか!! サンキュー、小林! 今度、飯でも奢ってやる」
「え!? ありがとうございます!」
「おう! 楽しみにしとけ!」
浮き足でオフィスへと戻る小林さんを見つめ、陣川さんは微笑んだ。
「アイツ、面白いだろ?」
「小林さんですか?」
「うん。何だかんだ言って、みんなから好かれてるよ」
「わかる気がします」
「──西宮さん」
名前を呼ばれ、ドキッとしてしまった。ついさっき挨拶を交わしたばかりなのに。もう私の名前を陣川さんは覚えていてくれた。
「今度、一緒に飯行こう」
「は、はい!」
「その前に、営業! さ、車乗って」
「失礼します」と助手席のドアを開けた途端、中から飲み物が転がってきた。
「わっ!?」
「おー、ナイスキャッチ!」
ときめいた雰囲気は一本のジュースによって消え去り、見れば助手席には色々な物が散乱している。どうやら、彼は整理整頓が苦手のようだ。