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Seven
第4章 恋の連鎖が止まらない
ため息が増えていく一人きりの車内。ブルーな気持ちしか乗車していない。隣に雪さんが居たら、真逆の色になっていただろうな……。園田さんと二人きりは危険だと分かっていても、専務である杉野さんから頼まれれば嫌とは言えない。おまけに、園田さんはうち(会社)のお得意様でもある。青葉さんの会社も同様だ。彼もまた園田さんとは違った危険を持っている。
何も起こらないことを願い、園田さんの会社に到着した。前回と同じように受付けの女性スタッフに声を掛けた。
「お世話になっております。園田様とお約束をしていたのですが」
「お伺いしております。ご案内いたしますね」
女性スタッフの後に続き、社内を歩いていく。黒で統一されたお洒落なオフィス。園田さんのイメージカラーとピッタリだ。
「では、こちらでお待ちください」
「……え?」
女性スタッフが開けた扉の先には大きなガラス窓があり、外の景色を一望できた。眺めに関しては絶賛できたが、問題なのはその前に広がる光景。とても打ち合わせで使う部屋とは思えない。
「あの、失礼ですが……本当にこの部屋で間違いないですか?」
「はい。間違いございません」
「でも……」
「何か私共の会社にご不満が?」
「い、いえ……」
不満だらけだよ!とは口が裂けても言える状況ではない。だが、どう見たってこの部屋は──ラブホテルの一室だ。
先ほどまでの黒で統一されたオフィスとは別の建物のよう。壁紙は桜色をしていて、絨毯は落ち着いたブラウンカラー。部屋のど真ん中には、オフホワイト色をしたキングサイズのベッドが置かれている。おまけに照明が温色でムード作りに貢献している。
ここに商談相手を招くこと自体、不自然だ。この部屋で何が行われるのか女性スタッフは知っている様子で「ごゆっくり」とにこやかに退室していった。