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Seven
第4章 恋の連鎖が止まらない

 駐車場に置いた営業車まで無事に辿り着くことができ、園田さんの会社からいそいそと脱出した。これも雪さんの道案内のおかげだ。それにしても不思議。助けを呼んでいないにも関わらず、雪さんは助けに来た。道案内にしても一度も迷うことなく、複雑な通路を突破できた。──まさか、予知能力? ……そんなわけないか。

 現実的に考えられる理由は、一つ。

「この会社の中に《内通者》いますよね?」

 私の問いにも動じず、雪さんは「いるよ」とあっさり認めた。むしろ、「よく分かったじゃん。女の勘ってやつ?」といつも通り微笑んでいる。

「驚かないんですか?」
「え? 驚かせたかったの? 残念だけど、俺にサプライズは通用しないから」
「もう! 真面目に答えてくださいよ!」
「ははっ! ごめん、ごめん。そうフグみたいに膨れっ面すんなって」

 私の頭をぽんぽん叩きながら、彼は続ける。

「俺の兄貴が社長なの知ってるよね?」
「はい」
「《内通者》は、社長の彼女。前に会ったでしょ? 鈴鹿さん」
「あ!」

 鈴鹿さんに会った日、雪さんが言っていたことを思い出した。『さすがに、あの人には手を出さないよ』──社長の彼女だから。そういう意味だったんだ。

「さすがに兄貴の彼女は……分かるでしょ?」
「そこまで手を出したら軽蔑しますよ」
「そんな怖い顔で睨むなよ。手出してないからな! マジで!」
「分かってます。……でも、その必死感が怪しい」
「は!? 何でそうなんだよ! マジで弥生(やよい)ちゃんとは何もないから!」

 「冗談でも俺が弥生ちゃんに何かしたって社長には言うなよ! いいな?」念を押す雪さんに余裕は感じられなかった。余程、社長が怖いようだ。
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