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Seven
第4章 恋の連鎖が止まらない
翌日の会社は雲行きが怪しかった。私の一件が絡んでいることは明白だ。社長から社長室にお呼びが掛かり、重い体を奮い立たせ、私は社長室を訪れた。
「失礼しま──青葉さんっ!?」
飛び込んできたのは、社長と向かい合って立っていた青葉さんの姿。ネイビーカラーのスーツを着た彼が「やぁ」と笑みを向けてきた。あんな事を人にしておきながら、けろっとしている。信じられない! 青葉さんから視線を逸らし、社長のもとへ急いだ。
「西宮さん、呼ばれた理由は分かっているな」
威圧感のある落ち着いた表情をした社長を見つめ、「はい……」と返事を返した。近くで見ても、社長と雪さんは似ていない。ここまで似ていない兄弟も珍しい。
「なぜ、そんなに暗い顔をしている?」
「それは……」
私ではなく、私の隣に立っている人物に理由を聞いてほしいくらいだ。横目で青葉さんを見れば、「ん? 僕の顔に何かついてますか?」と小首を傾げた。完璧にいつもの天然キャラを演じている。どこまでも、彼は しらを切るつもりらしい。
口ごもっていると「早く答えろ」と社長から冷たい眼差しが飛んできた。
「私の失態で、会社にご迷惑を──」
「失態? 何か誤解していないか?」
「え?」
「むしろ、失態したのは君のほうだ」社長が見つめている先にいたのは、私ではなく──青葉さんだった。