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Seven
第5章 縮まる距離、開く距離
注文を終え、二人がけの席へ移動した。窓際で外の景色が一望できる。
「結構、社食利用してる社員いるんだね」
「そうですね。でも、今日は少ない方かも」
「え!? 普段、もっといるの?」
「いますよ。お弁当持ってきて、ここで食べてる人もいますし」
「なるほどねー。俺も今度からここで食べようかな」
「いいと思いますよ! メニューも毎日違いますし」
「──ここで食べれば、深雪ちゃんとも会えるしね」
「そう、ですね」向かい合っているときに何て台詞をこの人は言うのだろう。きっと私の顔は赤く染まっている。俯いた私を見て満足そうに雪さんは笑うのだろう。からかわれて悔しい。彼からしたら、【さっきの仕返し】。
「お! 呼ばれたな。深雪ちゃんは、ここで待ってて。取ってくるから」
「でも──」
「いいから。こういうことは男に任せておけって」
さわやかな笑みを残し、雪さんは食堂のおばさんたちの元へ向かった。すると、しばらくしておばさんたちから「やだ~! そんなことばっか言って」と楽しそうな声が聞こえてきた。さすが雪さんだ。彼はどんな年代の女性にも女性扱いをする。そのため、彼を好きになる女性は多い。
一通り盛り上がってから、二人分の食事を持って彼は席に戻ってきた。
「随分楽しそうでしたね」
「ん? 何ジェラシー感じてんだよ」
「感じてません!!」
「むきになっちゃって。あ、こう言えばいい? ──俺には、お前だけだよ」
「……いただきまーす」
「スルーかよ!!」