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Seven
第5章 縮まる距離、開く距離

 昼食後、営業へ行くはずが「トイレ寄ってから行くから、先に車乗って待ってて」とトイレ前で別れたのだが、20分が経過しても雪さんが来る気配が全くない。

 体調が優れないのだろうか……。でも、あんなに冗談を言って笑っていたし、体調に問題は無さそうに見えた。もしかしたら、急に体調が崩れたのかもしれない。心配だ……。

 時計の針が午後二時半を回った頃、誰かと電話をしながら雪さんがやって来た。

「だから、これから仕事だって言ってんじゃん。悪いけど、もう付き合ってられないから。じゃ」

 苛立った様子で電話を切ると、不機嫌のまま彼は車に乗り込んだ。「待たせてごめん」「いえ……」会話が続かない。というよりも、話しかけられる雰囲気じゃない。電話の相手と何かあったのは明白だ。遅くなった理由が体調不良でなくてよかったが、これはこれで気になってしまう。

 電話の相手、雪さんの話し方からして女性だと思う。小林さんが言っていた【彼女】さん……なのだろうか。

「同じ女性を前にして、こういうこと言うのは悪いけど──女って、どうして自分勝手なんだろうな」
「男の人だって自分勝手な人はいますよ」
「……まぁね」

 キツい言い方をしてしまったかもしれない……。これっきり、雪さんが口を開くことはなかった。
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