この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Seven
第5章 縮まる距離、開く距離

 「西宮さん」細かい数字の入力作業をしている最中、雪さんに声をかけられた。数字の列がずらっと並んだ書類。今この用紙から目を離してしまうと、どこまで入力したのか分からなくなってしまいそうで、画面を見たまま返事だけを返した。

「あ……忙しいなら、いいや」
「すみません。急ぎの用件ですか?」
「いや。また後で」
「わかりました。すみません……」
「全然謝ることないよ。むしろ、きちんと仕事してるんだから、偉い偉い」

 雪さんの大きな手が頭上に乗せられた。いつだって彼は急にアクションを起こすから、心臓に悪い。ドキドキが治まらないまま、次の行動に彼は出る。

「なに照れてんだよ?」
「照れてなんか──」
「すげー顔赤いけど?」

 至近距離で異性に見つめられたら、誰だって緊張から頬を赤らめる。私のリアクションに満足したのか楽しげな笑みを残し、彼は去っていった。

「……結局、どこまで入力したのか分からなくなっちゃった」

 雪さんめ……。絶対わざと意地悪しに来たな……。

 「あれ?」デスクの上に私の好きな桃味の炭酸ジュースが置かれていた。いつの間に……。ペットボトルのパッケージに黒の油性ペンで文字が書かれている。

【これでも飲んで気分転換しろよ。頑張りすぎは禁物!】

 丸みのある女子みたいな字。この字体から察するに、書いたのは雪さんだ。斜め向かいの自分の席に戻った彼と目が合うと、親指を立てグッドサインを私に送った。「ありがとうございます」とお礼を言えば、やさしい笑みが返ってきた。

 ふわっと微笑む彼の顔が好き。飲み物の差し入れに加え、この笑顔が見れたから最高の気分転換になった。──ありがとう、雪さん。
/125ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ