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Seven
第5章 縮まる距離、開く距離
それから二時間ほど汗を流し、トレーニングを終えた。久々に体を動かして疲れたけど、心身ともに軽くなった気がする。
「お疲れ。よく頑張ったな」
「ユータくんの指導のおかげです。ありがとうございました!」
「そんなに誉めたって何も出てこないよ?」
照れ笑いを浮かべる彼に私も笑みを返した。
「なーに、ユータといい雰囲気になってんだよ」
「わっ!? 雪さん!! いつから……」
「は? 最初からいたけど。俺の姿すら見えないほど、ユータにぞっこんなんだ?」
「何言ってるんですか!! そんなんじゃ──ねっ?」
ユータくんに助けを求めたが、彼から返ってきたのは私が求めていた答えとは真逆の答えだった。
「俺の魅力に深雪もメロメロだったんじゃないすか? どっかの誰かさんはオジサンだし」
またしても目に見えない火花が雪さんとユータくんの間でバチバチしている。間に挟まれている私のことも少しは気にかけてほしい……。
「どうして、お二人はそんなに──」
「お嬢ちゃん、ちょーっといいかしら?」
いがみ合っている二人を放置してジュディさんと自販機がある休憩スペースに移動した。
「はい、お疲れさま」
「あ、すみません。ありがとうございます」
ジュディさんから手渡された冷えた缶のカフェオレ。いつの間に買ったんだろう。不思議に思っていると、ジュディさんが微笑みながら話してくれた。
「それ、ユータが自販機で当てたやつ。事務所の冷蔵庫から持ってきたの」
「え!? 凄い!! 自販機の当たりってなかなか出ないですよね」
「そうなのよ。なーんか、そういうことには運があるのよね。あの子。──雪くんとユータの関係もそのカフェオレみたいなものかもね」