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Seven
第5章 縮まる距離、開く距離
滅多に当たらない自販機の当たり。雪さんとユータくんの関係も同じ。……ダメだ。私の頭じゃ全然理解できない。
「ふふ。知恵の輪解くより難しい?」カフェオレを飲みながら、楽しそうにジュディさんは笑った。「はい……」頭を使い、疲れた。流し込んだカフェオレは喉を潤すだけでなく、甘さが全身を巡り、癒しを私に届けてくれた。
「ミステリアスな発言をする人はモテるって雑誌で見て、ちょっとやってみたの。どう? ドキドキした?」
「不思議過ぎて、理解に苦しみました……」
「そう……。じゃあ、これはダメね。合コンで使えない」
「合コン!?」
「なによー、私だって合コンくらいするわよ!!」
「そうじゃなくて、参加される方は皆ジュディさんと同じオネエさんなんですか?」
「えぇ。で、相手はそんなオネエに興味があるピチピチボーイたち♪」
「ピチピチ……」
ついジュディさんのタンクトップから覗く筋肉に目がいってしまった。
「ちょっと、どこ見てるの!! 同じ女の子だからって、人のことジロジロ見るのは失礼じゃない?」
「あ、ごめんなさい……」
「まぁ、西宮ちゃんが言いたいことは分かるけどねー。今度の合コン、セッティングしてくれたの雪くんなの」
「へぇー! 雪さんが」
「あらら? 上司のこと、下の名前で呼ぶの?」
「あ! い、いや……なんと言いますか」
「もうー!! なに、その羨ましすぎるオフィスラブは!!」
「ち、違います!! 全然そんなんじゃ──」
「そう?」
企み顔を私に向けると、今度は離れた場所でいがみ合いを続けている雪さんとユータくんにジュディさんは体を向け、声を飛ばした。
「ユータ!! 西宮ちゃん、フリーだって」
「ちょっと、ジュディさん!!」
火に油を注ぐようなことを……。その声に反応するや否や、二人はこちらに走ってきた。