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Seven
第1章 第一印象は笑顔

 まさかこんな身近で陣川さんの不特定多数の女性を目撃することになるなんて……。一体、私はどう反応したらいいのだろう。空気になるといっても無理がある。存在自体、透明になれたらいいのに。魔法が使えたらと今ばかりは切に思う。

 「おい、なーに本気にしてんだよ」コツンと拳が頭に落ちてきた。

「へ?」
「ふふ。面白い新人が入ったじゃない、陣川くん」
「真面目なんで、あんまからかわないでやってください。鈴鹿(すずか)さん」

 お茶をテーブルに置くと、黒髪のストレートなロングヘアを耳にかけながら、「ごめんなさいね、つい。私、鈴鹿って言います。よろしく」と柔らかく微笑んだ。仕草・表情、どれをとっても女性らしい鈴鹿さん。同性でもドキッとしてしまう。おまけに彼女から漂っている色気が凄まじい。

「西宮です。よろしくお願いします!」
「もう少し待っててね。園田さん、電話対応中なの」
「はい! わかりました!」

 「失礼します」と軽い会釈をして鈴鹿さんは退室していった。

「男女関係かと思った?」
「いや……はい、すみません」
「はぁ……。さすがに、あの人には手を出さないよ」

 引っ掛かる言い方だ。あの人には、ということは他の人になら手を出すということ……?

「こら、変に勘ぐらない」
「勘ぐってないです!」
「……西宮さんは、遊び人は許せない?」
「できれば、一人と付き合ってほしいですね……」
「俺はさ──結婚してなきゃ、何してもいいと思ってる」
「夢のハーレムですか?」

 静かな室内に陣川さんの笑い声が響く。「そんなに笑わないでくださいよ!」静かにしてほしくて、人指し指を自分の口許に当て「しっ!」と伝えるも、彼の笑いは治まる気配がない。
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