この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Seven
第6章 グランジ

 「青葉さんと何かあったんですか?」そう聞けたらいいのだが、どう見たって何かあったのは明白だし、不機嫌なときの雪さんは口数が極端に少ない。聞いたところで何も言わないだろう。重い空気を乗せたまま、雪さんが運転する社用車は会社へと向かっていた。

「……西宮さん」
「なんですか?」

 久しぶりに二人きりのときに苗字で呼ばれた。ここ最近は、いつも【深雪ちゃん】と呼ばれていたから、他人行儀というか、よそよそしく感じてしまう。こういった小さな変化にも一喜一憂している自分がいる。仕事とプライベートを混合するのはよくないと分かっていても、心は嘘をつけない。

「しばらくの間、デスクワークに集中して」
「え?」
「そのほうがいいでしょ? むしろ、俺はそのほうがいい」
「どういう意味ですか?」
「外回りは、俺一人で行く」
「……青葉さんと何かあったんですか?」
「別に。前から言おうと思ってたんだけど──西宮さんは、外回り……というか営業に向いてないと思う」

 これまでとは裏腹な態度にどうしていいのか分からない。ベストパートナーだって言ってくれたのも、全部冗談? どこまでが本気なのか、全然雪さんの考えが読めない。

「私……」
「大丈夫。スギさんには俺から伝えとくから」

 そういうことじゃなくて……。私は本当に向いてないのでしょうか? どうして急に? どう自分の考えを伝えたらいいかもがいていると、雪さんが窓の外に独り言を呟いた。

「……タイミングが悪い」

 ますます彼の気持ちが分からなくなった。何に対して、【タイミングが悪い】のだろう。気になることばかりが積もっていく。答えを知っているのは、彼だけ。気になるなら、聞けばいい。そう分かっていても、隣にいる彼との心の距離が離れすぎていて聞くことができない。
 
 会話もないまま、車は会社の駐車場に到着してしまった。
/125ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ