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Seven
第6章 グランジ

 会社に戻ってからは、就業時間までデスクの上の書類との格闘だった。それでも、半分以上積み上がったまま。明日は休日だし、もう少し残って片したいところ。

「残業すんなよー! 残ってる奴、早く帰れー!!」

 人生とは、うまくいかないものだ。専務の杉野さんからお達しが来てしまった。皆、いそいそと帰る支度をしている。そんな中、雪さんの姿が見当たらない。デスクに鞄もないから、もう先に帰ったのだろう。相変わらず、帰宅するのは一番早い。仕方ない。私も帰ろう。

 会社を出て駅の方へ歩いていたら、携帯が鳴り始めた。ディスプレイに【ジュディさん】の文字。女子力の先輩であるジュディさんと連絡先を交換したものの、互いの時間が合わなくてなかなか連絡を取り合う機会がなかった。

「もしもし?」
「お疲れー! 急で申し訳ないんだけど、今日って時間あるー?」
「はい、ありますよ!」
「それじゃ、夕飯一緒にどう?」
「いいんですか!? 是非是非!!」
「じゃあ、駅前にあるファミレスに集合ね!」
「了解です!」
「あー、ダメダメ! 【了解】じゃなくて、【オッケー】とか【わかった】って言うほうが女性らしい」
「あ、はい。では、改めて……わかりました!」
「それでよしっ! ふふ、一緒に夕飯食べるの楽しみにしてるから!!」

 電話を終え、小さな笑みが溢れた。ファミレス集合なんて学生以来だ。懐かしい気持ちになったからか、待ち合わせのファミレスを目指す足取りは普段よりも軽かった。
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