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Seven
第6章 グランジ

 「お姉さんと言っても血は繋がってないんだけどね。ユータの家も複雑なのよ」ジュディさんは困った笑みを浮かべ、アイスコーヒーを口にした。

「ユータくんのお姉さんと雪さんが……。だから、二人はバチバチしているんですね」
「そうねー。ユータにとって、お姉さんは初恋の相手だったから。雪くんに取られて悔しかったけど、雪くんになら……ってユータが思った矢先、雪くんはお姉さんを手放した。それが一番、ユータは許せなかったのかもしれない」
「……どうして雪さんは──」
「ごめんね。それだけは、私の口からは言えない。言えるのは、今のあなたと似たような状況ってことだけ」
「……そう、ですか」

 「お待たせいたしました~」明るい声で店員さんが注文の品を届けてくれた。

「さっ、食べましょう!」
「……はい」
 
 ガーリックソースの香ばしい匂いがするステーキをナイフで切り分け、ジュディさんは口へ運んでいく。ナイフとフォークの使い方が上手く、動作が美しい。その姿に見とれていると、得意げにジュディさんは微笑んだ。

「ふふ。ナイフとフォークの使い方、上手いでしょ?」
「はい! すごくキレイです!」
「ずっと片想いしてる人がいるんだけど、食べ方が綺麗な人が好きでね。たくさん練習したの。これだけは彼にも褒められる、ワタシの特技!」
「努力の賜物なんですね! 食べ方が綺麗な人と一緒に食事すると、より美味しく感じます」
「もう、うまいこと言って~。そんなに誉めたって何も出ないからね~」

 好きな人のために努力するジュディさん。だからこそ、ジュディさんは女子力が高いのかもしれない。……私も努力してみようかな。雪さんに彼女がいたとしても、密かに彼を想い、綺麗になろうとすることは迷惑にならないはずだ。

「……あの、ジュディさん。雪さんの好み、知りませんか?」

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