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モデルの撮影だったのに
第1章 起
「あのさ~明日ひま?」

「明日?なんで?」

「ほら、前に言ってたさ、シルバーアクセ作るやつさ、明日しないかなと思って」

「えー、マジでぇ~だって遠いよぉ」

ややびっくりした感じの彼女。

「静岡でしょ?こっから車で2時間かかんないよ」

「車?もってるの?」

「もってない。レンタカーっす。でさあ、もう5個作ったんだけど、見たくない?」

「うーん、見たいけど・・・」

私は畳み掛けるように言った。

「冬休みに作ろうっていってたしさ、明日休みだから、もし時間あればそっち行きたいなぁと思って。だめ?むりかな?」

「うーん、でもどこで?」

「そうだねえ、ガスコンロ使えるとこ」

「ガスコンロ?無理だし」

「コンロもってくよー」

「やる気まんまんじゃん(笑)」

「そ、決めたらやる人だから・・ははは」

「えーどうしよっかな・・・」

「明日、時間とれない?昼過ぎとか・・・ご飯食べながらやろうよ」

「って、どこでよ?」

「ガスコンロ使うとなると・・・静岡だろ、海、砂浜がいいな。海が見たい」

「それ目的ちがくない?」

「いやあ、だって折角静岡だから海見たいし・・」

「あー海好きって言ってたもんね」

「明日やろうよ。ね」

「うーん、何時?」

「お!OK?じゃあ、午後2時くらいでってことで。静岡ついたら電話する。で、静岡のどこらへん・・・?」



私はうまい具合に約束をとりつけ、レンタカーで日曜日の午前中に静岡に向かった。

午後の2時10分前に運転しながらスマホをいじる。

「もしもし~」

「はい」

「先生ですが」

「はいはい」

「ついたよ、清水駅までもう少し。駅で待ってるね。シルバーのミニだから、そっちも駅ついたら電話して」

「わかった」

私は駅のロータリーに車を停める。

窓を開けてタバコをふかす。

彼女はどんな感じなんだろう、というイメージをあえて頭の中では、めぐらせないようにした。

変なイメージを作り上げると、自分の気持ちの後が面倒だ。

着信音が鳴る。

お!きた

「もしもし~。どこ?」と彼女。

「えっとね・・車から腕出してタバコ吸ってる奴いない?それが俺」

私は周りを見回した。

「分かった?」

「わかった」

何?どこにいるんだろう?
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