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モデルの撮影だったのに
第1章 起
彼女を見つけることが出来ない。

すると、向こうからジーンズとハイネックの白いセーターに身を包んだ髪の長い女の子が歩いてくる。

じっとそのコを見た。

笑顔で「こんちは~はじめまして」と声をかける。

彼女は、恥ずかしそうに苦笑いを返した。

「乗ってよ」

「うん」

助手席の彼女は、写真とイメージが違った。

やっぱり、勝手に想像してしまっていたようだ。

「良かった」

「何が?」と彼女。

「いやさ、写真だとさ、結構大人っぽかったから、どきどきしてたんだけど」

「じゃあ、どきどきしないんだ、今」

「そんなことないけどさ。大人っぽい人、苦手なんだよねー」

「やっぱ、ロリだ」

笑いながら、目を伏せて、うつむく彼女。

「そんなこと・・あるかな。ははは。でさ、まあ、ご飯でも食べましょうかね。ちょと離れてファミレス探すけど、いい?」

「うん」

彼女は、緊張からかメールや電話のときよりも、口数が少なかった。

私は適当に、ここまで来たときに見た人や学校の話なんかを彼女に聞かせる。

ファミレスでは、次第に彼女も打ち解けてきて、普段?と変わらない感じで話をしていった。

「よし、それでは本題のアクセつくりに入りましょうかね」

「ほんとに海に行ってするの?」

「そうだよ、いや?」

「ってか、面白いね、先生」

「普通なんですけど・・」

「ふふふ」

私たちは、車で海に出た。

この時期の海は、人もいないので、さびしいが、天気が良く気持ちいい。

彼女は、明るく気さくで、接し易かった。

細身の身体つきだが、ざっくりしたセーターなので中味は分からない。

「ではですね、機材をそろえて・・そうだなあ、あそこにベンチあるじゃん。そこに行こう」

連れ立って歩く。

「ほら、これ。作ったやつ」

みくに、シルバーリングとペンダントを手渡す。

「あ!可愛い。こんな風になるんだあ。このデザインって、自分で考えたの?」

私はタバコを取り出し「これ」と指さした。

「なあんだ、デザインぱくりじゃん」

「いいんだよ~俺はKOOLが好きだから、LOVE KOOLってしたの」

「あはは~」

彼女は、指先にネイルアートを施していた。

「このさ、デザインいいねえ」

「え?ああ、これ。可愛いでしょう」

私は自然に彼女の指をそっとつかんだ。
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