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第24章 choice A 熱に侵されて side 啓介

俺、何しちゃってんだ。

そう思った時はもう遅くて、ストッパーが外れたように彼女の唇を夢中で奪っていた。

警鐘はずっと鳴っていた。だって、実物の文さんがそこにいて、真っ赤に火照った頬、熱で潤んだ瞳それだけでもやばいのに・・・彼女が俺に甘えてる。

今迄あった壁が一つなくなったみたいに彼女を近く感じて、それは、ただ風邪で弱っているせいかもしれないし、はたまた、俺の都合の良い勘違いかもしれないけど、そんなことどうでもいいくらい気持ちが溢れて止めようがない。

あなたにとっては意味の無い関係だっていい、この気持ちを無かったことにするよりはずっといいんだ。捕まえたくて、逃がしたくなくて、何度もキスを落とした。

「・・・待っ・・てってば！」

欲しくて欲しくて堪らない俺とは違う、そりゃ当たり前だけど、俺の胸をグッと押し返す彼女のはっきりとした意思表示に切ない痛みが広がる。

遣る瀬無い気持ちになって、これ以上我慢が効かなくなる前に帰ろうとした時、

「・・・別れたの。」

発せられた彼女からの一言はあまりにも意外なものだった。