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当機は偶然により、運命を変更致しました
第1章 到着地の状況は最悪
「じゃ、行こうか、地下鉄」
「え」
「行かないの?」
「行きます、けど……」
なんで一緒に行かないといけないの。
いい人だと思ったけど、もしかしてストーカー?
お世話になったことを棚に上げて警戒してたら、苦笑された。
「行き方分かる?」
「地下鉄はこっちでしょ?」
「じゃなくて。宮崎まで」
「あ……」
……分かりません。
説明は、一応聞いた。
鹿児島まで新幹線とか、高速バスとか。
でも、どうして宮崎行くのに宮崎より遠い鹿児島行くの?ってとこでまず引っかかって、結局なんだかよく分からなかったんだ。
「さっき、飛行機でそう言ってたから。良かったら、途中まで一緒に行かない?」
「え」
「君、目的地周辺以外、土地勘無いよね?」
図星です。
福岡も知らないし、九州全体も知らないし、宮崎だって空港から彼の家までの他は、よく分からない。
遊びに行くときとか買い物とかは、彼の車に乗ってるだけだもん。
「袖振り合うも多生の縁って言うじゃない?このままだと明るいうちに宮崎着けないかもしれなさそうで、気になっちゃって……どっからどのバス乗ったら良いかとかも、分かんないでしょ」
悔しいくらい、全部おっしゃる通りすぎる。
けど。怪しくない?親切すぎない?
こんな下心が有るかもしれない話なんか、いつもなら即断ってる。
行き方なんか、彼に聞いたらすぐ分かるし。
でも今回は、聞けないし。
連絡しないって決めてるのが、痛い。
お隣さん、鼻セレブくれたし、いい人だし、一人で宮崎着ける自信無いし。
「ありがとうございます。宜しくお願いします」
ありがたくしょうがなく、お言葉に甘えることにした。