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当機は偶然により、運命を変更致しました
第1章 到着地の状況は最悪
*
「あの、すいません」
表示も地下への階段もエスカレーターも、見つけられなくて。
仕方なく、案内所の人に、聞いてみた。
「はい?」
「地下鉄の降り口って、どこですか?」
「地下鉄ですね。こちらをまっすぐ行って頂いて、航空会社のカウンターも過ぎた先の辺りに、地下に降りるエスカレーターが御座います」
「ありがとうございます、助かりました!」
さすが、案内所。
お礼を言って、言われた通りにまっすぐ歩く。
まっすぐまっすぐ、航空会社のカウンターを超えてもまっすぐ……って、歩いていたら。
「お疲れ様」
「あ」
スーツケースに紙袋を乗せた、お隣さんが居た。
私の荷物を棚から下ろしてくれたり、最後までいい人だったけど。
飛行機を降りた後いつの間にか居なくなってて、お礼も言えなかったんだよね。
「ゆっくりだったね。迷った?」
「そちらだって、まだここに居るじゃないですか」
「君を待ってた」
「え」
「……ってのは冗談で、お土産買ってた。せっかくの福岡だし」
お隣さんは目を細くして笑って、「西洋和菓子」と書いてある、大きな黄色い紙袋を指差した。