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当機は偶然により、運命を変更致しました
第2章 涙のチキン南蛮

   *

「そりゃ……ツラい誕生日だったねー」

神様。
なんで私はこんな知り合い一人も居ない様な土地の居酒屋で、今日偶然飛行機で隣になっただけの人に、遠恋の彼に浮気されて別れた話をして、慰められているのでしょう。

「チキン南蛮お待たせしましたー」

「あ、来た!食べてみて、ここはモモ派なんだよ!ここの払いは、俺からの誕生日プレゼントだから!遠慮しないで!」

ほれほれ、ってチキン南蛮を勧められるけど。

「違う……私、誕生日じゃ無い……」

「え?」

「彼……元彼の、誕生日だったの……」

そう。
バスから降りる時に、誤解されたって思ったんだよね。
誕生日サプライズは、私の誕生日じゃない。
彼の誕生日サプライズ。

「……誕生日に、職場の女の子に『私がプレゼントじゃだめですか?』とか言われてー……お楽しみの所に、こんなとこに居ないはずのちょっと飽きてた彼女が来ちゃってー……まさに!サプライズだよねー!?」

あははははーって笑ったけど、お隣さんは笑ってない。
笑え!愛想笑いでいいから!!悲しいじゃないかー!!

「……とりあえず、飲もう!!ちゃんと送るから!送り狼とか、ならないから!!」

お隣さんは笑う方面じゃなく、飲ます方面に走ったらしい。
でも。

「……無理……送れない……」

「え?」

「泊まるとこ、無いもん……」

「えええぇぇっ!?」

お隣さんは、周りのお客さんがこっちを向くほど、驚いた。

「え、え、なんで、泊まるとこ無いの!?」

「無い……彼のとこに泊まるつもりだったから……」

「でも、浮……お別れしたんだよね?今からでも、どっか取ったら」

お隣さんは、悪気なくどんどん墓穴を掘った。
お隣さんの墓穴じゃなくて、私のだ。
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