この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
当機は偶然により、運命を変更致しました
第2章 涙のチキン南蛮
*
「そりゃ……ツラい誕生日だったねー」
神様。
なんで私はこんな知り合い一人も居ない様な土地の居酒屋で、今日偶然飛行機で隣になっただけの人に、遠恋の彼に浮気されて別れた話をして、慰められているのでしょう。
「チキン南蛮お待たせしましたー」
「あ、来た!食べてみて、ここはモモ派なんだよ!ここの払いは、俺からの誕生日プレゼントだから!遠慮しないで!」
ほれほれ、ってチキン南蛮を勧められるけど。
「違う……私、誕生日じゃ無い……」
「え?」
「彼……元彼の、誕生日だったの……」
そう。
バスから降りる時に、誤解されたって思ったんだよね。
誕生日サプライズは、私の誕生日じゃない。
彼の誕生日サプライズ。
「……誕生日に、職場の女の子に『私がプレゼントじゃだめですか?』とか言われてー……お楽しみの所に、こんなとこに居ないはずのちょっと飽きてた彼女が来ちゃってー……まさに!サプライズだよねー!?」
あははははーって笑ったけど、お隣さんは笑ってない。
笑え!愛想笑いでいいから!!悲しいじゃないかー!!
「……とりあえず、飲もう!!ちゃんと送るから!送り狼とか、ならないから!!」
お隣さんは笑う方面じゃなく、飲ます方面に走ったらしい。
でも。
「……無理……送れない……」
「え?」
「泊まるとこ、無いもん……」
「えええぇぇっ!?」
お隣さんは、周りのお客さんがこっちを向くほど、驚いた。
「え、え、なんで、泊まるとこ無いの!?」
「無い……彼のとこに泊まるつもりだったから……」
「でも、浮……お別れしたんだよね?今からでも、どっか取ったら」
お隣さんは、悪気なくどんどん墓穴を掘った。
お隣さんの墓穴じゃなくて、私のだ。