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当機は偶然により、運命を変更致しました
第2章 涙のチキン南蛮
同じって言っても漢字は違うし、名字は全然違うけど。
この名前、クラスに一人居たくらい、流行った名前なんだよね。
よく有る名前が、恨めしい。
「……なんでもない。頂戴致します」
名刺を受け取るのに頭を下げて、上げるまでの間に、心を決めた。
不快で危ない宿泊先より、快適で危ない宿泊先の方が、まだマシだ。
温泉だし、高級ホテルだし、自腹じゃ二度と泊まれないだろうし。
……二度と来ないかもだけど。
「ありがとうございます、お言葉に甘えます。お世話になります」
「よし、決まりね。良かった!ここで別れたら気になっちゃって寝れないとこだったー」
ほっとした様な笑顔を向けられて、ドキッとする。
やっぱりこの人、単に凄くいい人なのかも。
疑って、すみませんでした……?
「で。君、名前は?」
「え」
また不審な目を向けたら、苦笑された。
「名字は聞かないけど、名前くらいは知らないと困るんじゃない?それに、一緒に泊まるのに名前も呼べないなんて、フロントで変に思われるよ?」
……それも、そうか。
「……真帆。」
「まほちゃんね、了解」
どんな漢字かとかは、聞かれなかった。