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当機は偶然により、運命を変更致しました
第2章 涙のチキン南蛮
だけど、このダブル、ものすごく広い。
端と端で寝たら、寝返りしても相手に触らないくらい、広いなあ。
こんなダブルベッド、普通のホテルじゃ初めて見たよ。
「あ。えーっと、気にしないで。俺、こっちで寝るから」
私がじーっと無駄に広いダブルベッドを見ていたら、ショーゴさんが言い訳っぽく言った。
「……ソファー?」
しかも、メインのソファーじゃない。寝室の壁にぴったり付けて置いてある、なんでそんなとこにソファーが有るの感溢れるソファー。
「これ、ソファーベッドなんだ。エキストラベッドにもなる奴」
「へー……あ、でも、布団無いよね?」
ベッドはダブルだから、布団もダブルだ。
二人で分けれない。
「大丈夫、適当にするから。南国だし、暖房有るから平気だよー?……じゃ、落ち着いた所で」
ショーゴさんは荷物の中から、パソコンを取り出した。
そのパソコン、タブレットにもなるタイプみたいだけど、飛行機で見てたやつより大きいよね?
スマホもタブレットも持ってるのに、パソコンも持ってるの?!
……出張、すごい。
さすが、ビジネスセット大盛り。
「俺、仕事するから。あとは適当にしててー」
「日帰りだったのに、仕事するの?」
「日帰りだったから、仕事すんの。予定より遅れた訳だから、報告書の下書きしとかないとねー」
「ふーん……」
うわー。
手帳みたいな物見ながら、カシャカシャカシャカシャ打ってるよ。
滅茶滅茶速いブラインドタッチだ。
ただでさえご迷惑をお掛けしてるのに、仕事のお邪魔をしちゃいけない。
「じゃあ、私、お風呂行って来ますね」
「どうぞどうぞ、ご遠慮なさらず。あ、カードキー、一枚持ってってね。俺もどっか行くかもだし」
「了解です!」
ショーゴさんが時々使う返事の、真似をしてみた。
そしたら手帳から目を上げて、驚いた様にこっちを見て、目を細くして、ふっと笑った。