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当機は偶然により、運命を変更致しました
第2章 涙のチキン南蛮
「っあー……温泉、最高っ……!!」
洗い場で体を洗った後。
一番大きい岩風呂の湯船に浸かって手足を伸ばしながら、思わず口に出していた。
このホテルには、岩風呂、桧風呂、泡風呂、薬草風呂、寝湯、露天風呂、ミストサウナと、色んな種類のお風呂があった。
のんびり入ってたら、何時間も居られそう。
……それに。
「んー……つるっつる~!!」
この温泉、肌がつるっつるになるんだなー。
自分で言うのも何だけど、触ってみると有り得ない位すべすべで気持ち良い。
どんな成分なんだろう。
似てる温泉が近所に有るなら、帰ってからも入りたい。
部屋にも、広いお風呂が有ったけど。
いくら部屋が広くてお風呂に鍵がかかるからって、今日会ったばっかりの男の人と泊まるのに、部屋のお風呂には入れない。
かと言ってお風呂に入らないのも、あからさまに疑ってるみたいで悪い。
ここが無かったら今日はお風呂に入れなかったろうなあ……と考えてたら、大変な事を思い出した。
化粧品一式、部屋に置いて来ちゃったよ……。
化粧水と乳液とコットンくらいは備え付けのがあるけど、メイクは出来ない。
すっぴんか……どうしよう……。
でも、ショーゴさんは、たまたま飛行機で隣に座っただけの人だよね?
恋人でも無いし、好きな人でも無いし、友達でさえ無いんだし、チェックアウトしたら、二度と会わない。
すっぴんだろうがフルメイクだろうが、どうでも良くない?
ここには使い捨て歯ブラシも置いてあるから、帰ったら後は寝るだけだし。
さっさとベッドに入ればいい。
「……ま、いっか。旅の恥はかき捨て、ってね!」
風呂上がりの化粧はすっぱり諦めて、上がる前にもういっぺん露天に入ることにした。
露天で、きれいな月を見ながら。
なんにも気にしなくて良い相手って、気楽で良いなー……
なんて事を、思ったりした。