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当機は偶然により、運命を変更致しました
第2章 涙のチキン南蛮
さて。
気まずくないように、ショーゴさんが帰って来る前に、寝よっと。
寝てる間に充電を……って荷物からケーブル出してたら、思い出した。
全然見てなかった、スマホ。
しかも、一回解除したけどまた戻しちゃったから、フライトモードになったまま。
……フライトモードを、無効にしますか?
思い切って「はい」を押すと、ぱたぱたと色んな通知が点灯した。
その中に、SNSの通知が有った。
そうだ。あの人を、削除しなくちゃね。
削除するには、まずブロックするんだっけ……?
ブロックする時、トーク画面を開かなくても出来るかどうか、知らなかったから。
二度と見たくなかったけど、最後だからって我慢して、あの人のトーク画面を開けた。
*
カチッとカードキーの解錠の音がして、そーっと扉の開閉される音がする。
(……ただいまー)
戻ってきた挨拶の声も、空調の音より小さいくらい。
それなら、挨拶しなくても良くない?
電球は点かない。
スマホの灯りが灯台みたいに、ぼうっと一周部屋を照らした。
「ま?!」
(……まほちゃんっ?!)
ショーゴさんは声を上げて私の名前を呼びかけて、小さく小さく言い直した。
「うー……?」
だらんごろんと、寝返りを打つ。
「ちょっと、まほちゃん?!何でデュベカバーの上に寝てるのっ?!……わ!」
からんと空き缶が転がって、サイドテーブルから落ちる音がする。
「ずべ?……ずべかばー?ずべって、なにぃー?」
「……ビール、飲んだね……」
ショーゴさんは、溜め息を吐いた。