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当機は偶然により、運命を変更致しました
第2章 涙のチキン南蛮
「なんで……?」
なんで、こんなとこで止まるの!?
こっちのショーゴにもムカついたから、背伸びしてキスをしてやった。
せっかくキスしたのに、何にもしないで、そのまま喋り出した。
「今、ゴム持って無い」
……え。
そんなこと。
ここまで来といて、そんなことで、ダメなわけ?
「無くても、平気だよ?今日、大丈夫な日だから」
「駄目。そういうのは、駄目」
ショーゴさんは私の頭をコツンと叩いた。
「なんか有ったら、困るのは女の人の方だよ?辛いのは、まほちゃんでしょ」
「そんなの……」
そんなの、今まで言われた事無いし、考えた事も無い。
……でも、考えないようにして、生理が来てほっとした事は、何回か有ったかも。
「そのーー元カレ?は、まほちゃんを大事にしなかったかもしれないけど、まほちゃんはまほちゃんを大事にしなきゃ」
「うー……」
もう充分面倒くさい女を拾っちゃったんだから、これ以上面倒くさい事になりたくないだけかもしれない。
でも、もし最初からその気が少しでも有ったんだったら、さっき寄ったコンビニででも、私がお風呂に行ってる間にでも、ゴムなんかいくらでも買えただろう。
……この人、変だよ。
「ショーゴさんって、すごいED?それか、すごいいい人?」
「どっちでも無いと思うけど」
なんか分からないけど、ムッとされた。
「良いって言ってるんだから、ヤッといたら良いじゃん……旅先だよ?後腐れないよ?私、おっぱいのカリスマだよ?」
「なにそれ。仕舞っとこうね、おっぱい」
はだけた浴衣を直してくれる。
「もー、なんなのー……お人好しすぎて、詐欺とか心配になるレベルだよー……」
「大丈夫だよ。そんなにお人好しじゃないから」
今度は、私の頭を撫でた。
「次が有ったら、遠慮しないから。今度は、ちゃんと用意しておくよ」
次なんて、有るわけ無いじゃん。
たんなる偶然の、行きずりなんだから。
私は泣きそうになりながら、もう一度ぎゅっと抱き付いた。